2013年9月13日金曜日

試験実施機関は合格ラインを操作出来ない

(1)試験実施機関が合格ラインを操作出来るという誤解


試験実施機関の「不動産適正取引推進機構(RETIO)」が合格ラインを操作出来る、という誤解が拡散しています。

しかし、法理論的に、試験実施機関は合格ラインを操作することなど絶対に出来ません。

試験実施機関が合格ラインを操作出来るという考えは、大きな誤解です。

(2)試験実施機関が合格ラインを操作出来ない理由


こちらの記事でも書きましたが、世の中の催し事は、すべて主催者によって決められます。宅建試験の主催者(宅建試験を「行う」者)は都道府県知事であり、試験実施機関(RETIO)は主催者ではないからですね。

(3)なぜ誤解が拡散しているのか


じゃなぜ、「試験実施機関が合格ラインを操作出来る」なんていう誤解が、拡散しているのでしょうか?

このような誤解を拡散させると儲かる者がいるからです。

(4)誤解を拡散させると「誰が」儲かるのか


私がネットを始めた1998年(平成10年)頃は、業界紙・出版社・大手予備校が誤解の拡散によって儲けていました。

最近は、独立系宅建講師やアフィリエイターが、それに加わって来ました。

(5)誤解を拡散させると「なぜ」儲かるのか


 ・ 業界紙
 ・ 出版社
 ・ 大手予備校
 ・ 独立系宅建講師
 ・ アフィリエイター
の誰一人として、合格ラインの正式発表まで、「本物の合格ラインを知ることができない」です。誰も正解を知ることができない期間は、何を書いても飯の種になるチャンスがあるのです。

合格ラインは政策(一次的には都道府県の政策、最終的には国家の政策)によって決まるのであり、そういう政策は機密事項であり、事前に漏れることは無いから、何を書いても飯の種になり得るのです。なお、合格ラインが政策で決まるという点は、こちらの記事に書きました

(6)誤解を拡散させる「手段」は?


何しろ、業界紙~アフィリエイターまで、「飯の種である本物の合格ラインを知ることができない」ので、いろいろと悪知恵が発明されています。
今回は二つの悪知恵をご紹介します。

(イ)悪知恵 - その1

悪知恵の一番目は、「業界紙・出版社・大手予備校」は天下り役人等を介してお上等とつながっているので、本物の合格ラインを「リークしてもらえる」というものです。いわゆる「リーク型」。

私の長い講師経験の中で思い起こすと、確かに、そのような時期もありました。

例えば、2001年(平成13年)には、業界紙が、「今年の合格ラインを決める"宅地建物取引業法主管者協議会"(合格ラインを決める会議)が熊本市で開かれ、合格ラインが34点になった模様」というような記事を、正式発表前の11月中旬に堂々と掲載していました。

この記事は現在ネット上で拾うことは出来ません。業界紙が削除したと思われます(宅建倶楽部が保管している当時の新聞紙に基づいて書いてます)。

2000年(平成12年)・1999年(平成11年)…と10年以上さかのぼっても、11月中旬には同じような業界紙の記事が掲載されていたものです。

しかし、状況が一変したのは、2002年(平成14年)以降です。
規制改革会議の提言によって、合格ラインが正式発表されるようになった最初の年が2002年(平成14年)です。規制改革担当大臣が石原伸晃氏の時です。

そして、合格ラインが正式発表されるようになってから、業界紙・出版社・大手予備校が、本物の合格ラインを「リークしてもらえる」という時代は去り、宅建試験がだいぶ透明化して来ました。

でもいまだに、この古典的手法が使われることがあるのは、残念です。
去年(2012年・平成24年)も数例発見しました。
発信元は、独立系宅建講師やアフィリエイターでした。

私の感覚では、無知な受験者に対しては、まだ効果があるようです。

(ロ)悪知恵 - その2

業界紙~アフィリエイターまで、「飯の種である本物の合格ラインを知ることができない」ことから派生する二番目の悪知恵は、いわゆる「競馬予想型」です。

つまり、
 ・ ▲▲予備校は去年も当てているので、今年の予想も信用できる
 ・ @@予備校は大手の中でも過去の的中率が一番なので、今年の予想も信用できる
 ・ ◆◆予備校は最新の統計アルゴリズムを取り入れたコンピュータ予想なので、信用できる
的なものです。

この二番目の悪知恵、ネットリテラシーの高い受験者ほど、引っ掛かりやすいというのが、私の診たてです。

それだけに、同じくらいネットリテラシーの高い、変なアフィリエイターが好んで使っている悪知恵です。


「明日の天気の予想は?」と問われた場合、「今日と同じだ!」と答えておけば、我が国では6~7割が当たります。気象関係者の間では有名なエピソードです。残りの3~4割を当てるためにスーパーコンピュータを導入しても、「経験したことがない異常気象でした!」で逃げられるのが予報(予想)の世界なのは、皆さまご存知の通りかと…。

(7)最後に


私個人としては、「悪知恵その1」も「悪知恵その2」も、祭り気分で、軽く受け流せる性格(受験者だったとしても気楽に2CHができる性格)なのですが、宅建受験者の過半数(10万人以上)は、そうじゃないと思います。

ネットが発達してきたとはいえ、また、ネットリテラシーが高いとはいえ、ヤフーやグーグルの検索でヒットしやすいアフィリエイターが発信した情報に一喜一憂する受験者は、過半数は下らないと感じてます。

受験者の性格に由来するとしても、今年も、10月20日の本試験以降正式発表の12月4日まで,変なブロガー等にもてあそばれて「針のむしろ状態になる」受験者を一人でも減らすのが、私の正義感です。

かと言って、私の正義感が普遍性を持っているなどと威張るつもりはありません。
わが国が資本主義陣営に属する以上、アフィリエイターにも営業の自由があるのは当然です。

されば、私の正義感と営業の自由をバランスさせる点は、奈辺(なへん=どの辺り)に有りや!

そんなこと思いながら、今日は夕食後にこんな記事を書いてみました。