(1)平成30年度[問31]肢3は、こんな問題
肢3
土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、宅地建物取引業者Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をDに対し説明した上で、AがDから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
(2)上の肢3をマルとしている予備校・講師が、ほとんど…
この問題の主語が、「宅地」(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、と書いてあったら、答えは確かにマルです。
平成29年11月に国土交通省から公表された「空家等の売買・交換をする場合の報酬額の特例」に合致しているからです。
※
空家等の売買・交換をする場合の報酬額の特例とは…
1.売買代金400万円以下(税別)の宅地又は建物であること
2.売主から受領する報酬であること
3.現地調査等に要する費用の額についてあらかじめ売主に説明すること
という3つの要件を充たしたときは、
A.通常の計算式である
・200万以下は、200万×5パーセント=10万円
・200万を超え350万までの150万円分は×4パーセント=6万円
の合計額16万円を算出します。
B.A.で求めた金額に上限が18万円になるよう調査費用(2万円)を加算します。
C.B.で求めた金額に消費税を上乗せします。
D.したがって、18万×1.08=194,400円が、AがDから受け取ることができる報酬の上限額となり、肢3はほとんどの予備校・講師が、マルとしたのです。
平成30年度[問31]は「正しいものはどれか」という問いかけであり、肢1・2・4が誤りなのは明らかなので、世間では[問31]の正解は肢3であることが、まかり通っています。
(3)しかし、しかし、上の肢3をマルとするわけにはいかない
理由は「この問題の主語が、「土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、と書いてあるからです。
これは基本中の基本、宅建業法の入口の話なんですけど…
土地には
・宅 地(例:建物の敷地・用途地域内の土地のどちらかに当るもの)
・非宅地(例:建物の敷地・用途地域内の土地の両方に当たらないもの)
の二種類があります
私たちが勉強している法律は
・「土地」建物取引業法
ではなく
・「宅地」建物取引業法
そもそも、宅地建物取引業法の目的は、購入者等の利益の保護と宅地及び建物の「流通の円滑化」とを図ることにあります(宅建業法1条)。
「流通の円滑化」が法の目的だから、土地のうち、建物の敷地・用途地域内の土地のどちらかに当るもの、つまり(流通の可能性がある土地)だけが宅地になっているんです。
建物の敷地・用途地域内の土地の両方に当たらないものなんて、田舎の耕作放棄地みたいな所で、そもそも(流通の可能性がない土地)だから、宅建業法は丸っきり放任している(宅地にしていない、単なる土地・地所・地面扱いのモノ)なんですね!
だから、平成30年度[問31]肢3のように土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、宅地建物取引業者Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、……AがDから受け取ることができる報酬の上限規制は無いです。
「土地」としか書いてないんだから、肢3の事例では、宅建業法上の規制は何もないです。
報酬額規制はおろか、重要事項や37条書面も無関係…!!
(4)氷見敏明講師に座布団5枚!
きょう私が書いた出題ミスの指摘を最初にしたのは、氷見敏明講師です。
早くも試験当日の平成30年10月21日(日)にされています。
迷物講師は意地悪なので、1ヶ月様子をみることにしました。
それでこの記事を書いているのは、ちょうど1ヶ月遅れの平成30年11月21日(水)となったのです。
今年度の合格判定会議は、11月16日(金)にすでに終了しているでしょう。
出題者側が、私が申し上げたような指摘にすでに気付いてくれ、平成30年度[問31]を没問扱いにして下さることを願うばかりです。
もし気付かず、今ごろ合格証書の印刷にでも掛かっているのなら、平成30年度[問31]を全員正解扱いにして、追加合格を発表すべきでしょう。
年内なら間に合うでしょう。
日産のカルロス・ゴーンみたいにならないうちに、謝るべきは謝りましょう。
隠ぺいがますます通らなくなった時代、それがネットの時代なんですよ!